『乱視矯正用ハードコンタクト』カテゴリーの投稿一覧
乱視矯正用ハードコンタクトには2種類の異なるタイプのレンズがあります。一つはバックトーリックと呼ばれるタイプで角膜乱視を矯正するタイプ、もう一つはフロントトーリックと呼ばれるタイプで残余乱視(ざんよらんし)を矯正するタイプです。
そもそも乱視とはどのような状態を言うのでしょうか?人間の角膜の形状は見た目はまん丸い球面状に見えますが、実際にはラグビーボールを横に置いたような形状、つまり縦のカーブがきつくて、横のカーブが緩やかな形状をしています。しかし個人差はあるもののその差(歪みの度合い)が大きい方がいます。このことを一般的に角膜乱視と呼んでいるのです。つまり歪んでいるから乱視という症状が出てきている訳です。一方、人間の目には角膜とは別にもう1種類の乱視が存在しています。それは目の中にある水晶体という部分の乱視です。角膜も水晶体もカメラで例えると「レンズ」に該当します。この水晶体も角膜と同様、まん丸い形状ではなく、むしろ角膜とは逆にラグビーボールを縦に置いたような形状、つまり縦のカーブが緩やかで横のカーブがきつい形状をしています。ですか通常皆さんが耳にする「乱視」とは、「角膜と水晶体の乱視が合わさったもの」を指しているのです。そしてこの2つの乱視は打ち消しあうように作用しているケースが結構あるのです。メガネにおける乱視の矯正はこの両方の合わさった乱視を矯正しますので問題はないのですが、コンタクトレンズの場合、角膜の上に乗せますので、角膜の歪み(角膜乱視)は矯正できるのですが、目の中にある水晶体の乱視は矯正することができません。つまりこういうことです。角膜の乱視と水晶体の乱視を合わせた乱視を全乱視と言いますが、全乱視がない方(例えば簡単に説明すると:角膜乱視(+1)+水晶体乱視(-1)=全乱視0)がハードレンズを装用すると角膜乱視だけが矯正されます。そのことにより前述したバランスが崩れて水晶体乱視(-1)がでてきてしまうのです。そのことを冒頭にある残余乱視と言っています。ここまで御理解いただけましたか?
角膜乱視の場合、ある程度の歪みまでは通常のハードコンタクトで通常問題はありません。ところが中にはその歪みの程度がとても大きい方がいます。歪みが大きすぎると丸くて硬いハードレンズを乗せた場合、表面上は丸くなるものの、どうしても安定感が悪かったり、それに伴う異物感、ズレ、ハズレ、充血などが出てきます。そこである程度その歪みの形状にハードコンタクトの内側の形状を合わせたレンズが必要となるわけです。それが冒頭にあるバックトーリックタイプの乱視矯正用ハードコンタクトなのです。一方フロントトーリックはハードレンズの乗せても歪みを消すことのできない水晶体乱視の影響を強く受けている方に適している乱視矯正用ハードコンタクトでレンズのフロント(前面)の部分に乱視を矯正する度数が入っているレンズです。一言で乱視矯正用のハードコンタクトと言っても乱視のタイプによって使用するコンタクトも変わってくるのです。乱視が強くて良好な見え方が得られないと言う方は、一度眼科医の検査を受診し、ご自身の乱視がどのタイプの乱視かを見極める必要があります。その上でどのようなタイプのハードコンタクトが適しているかを考えなくてはなりません。