連続装用
現在、流通しているハードコンタクトはいずれも性能的にはかなり高性能レンズになっています。従って装用時間でいうならば終日装用が可能なタイプです。終日装用とは文字通り終日=起きている間(=通常は14~16時間といったところでしょうか)は装用していてもいいと言う装用方法です。
一方、終日装用に対して連続装用という装用方法があります。読んで字のごとく、連続、つまり就寝中もつけっぱなしにしているという装用方法です。例えば1週間の連続装用タイプでしたら、月曜日の朝に装用、火水木金土日とつけっぱなしです。そして日曜日の夜にはずし、一晩は何も装用せずに就寝します。そして月曜日再び装用するわけです。
連続装用としての装用は誰でも出来るものではありません。連続装用するには医師の許可が必要なのです。まず検査の段階で、医師に連続装用としての装用を希望している旨を理由と共に説明いたします。その上で実際に連続装用としての使用方法に適応できる目なのか否かを確認するためにテスト装用を行いチェックします。その上で問題がないと判断されれば医師より許可がおり、その際に連続装用の管理手帳を渡されます。その手帳には定期検査などの受診状況などが記載されます。そして決められた定期検査及び適正な使用法に関してそれらを「遵守します」と言う承諾書へサインをして、晴れて連続装用としての生活をスタートさせるわけです。少し面倒に思われると思いますが、連続装用とはそれだけ危険性があると言うことなのです。
ハードコンタクトで連続装用が認められている期間はおおよそ1週間のタイプが大半ですが、中には30日間の連続装用が認められたレンズも一部あります。連続装用をするには、前述したように医師の許可が必要ですが、連続装用としての認可のおりたレンズを使用しなくてはならないのは言うまでもありません。認可のおりたレンズには多くの場合、商品名にEXという称号「=extended wear」を付けている商品が多いようです。「メニコンEX」や「B&L EX-O2」や「HOYA ハードEX」のように。ただ「メニコンZ」や「シードS1」や「東レブレスオーハード」のようにEXという称号がついていませんが、連続装用の認可のおりたレンズもありますので、迷った時は確認することをお薦め致します。
一方で連続装用という装用方法に関しては、多くの眼科医が許可を出していない実情もあります。言うまでもなく目の安全性を考慮してのことです。連続装用と言うと、「目の悪い方」には憧れのレンズですね。いつでも見えるわけですから。裏を返せばそれだけ日常で不自由をしているということになるのですが。しかし睡眠中にコンタクトレンズを装用している必要性のある方がどれだけいるかと言うと、非常に少ないのではないでしょうか。
本当に連続装用の必要性のある方、例えば就寝中から起床をしてすぐ行動を起こさなくてはならない職業(例えば消防士さんや看護師さん、国際線のパイロットさんなどなど)、またコンタクトのケアができないような環境下で過ごさなくてはならない職業(自衛隊のかなど)はやむを得ないと思いますが、普通の会社員さんやOLさんにそれほどの緊急性や必要性はないのではないでしょうか?
そもそも本来の人間の角膜には何ものっていないのが正常な状態です。そこにいくら性能が高いとはいえ、異物をのせるわけですからそれだけでも負担がかかります。さらにその上そのレンズを1週間なり装用し続けるという行為自体、とても負担のかかる行為なのです。汚れの問題もしかり、睡眠中、無意識に目をこすったりすることもあります。現に終日装用と連続装用とでは障害の発生率も異なります(連続装用の方が高い)。
しかしながら現代人の生活スタイルから長時間装用は避けて通ることはできません。従って連続装用可能なハードコンタクトを終日装用で使用するのが一番安全なのではないでしょうか。